株式会社バーニングトライブ

中小企業の生成AI活用 業種別ユースケース表(製造・小売・介護・士業)

この記事の結論

  • 製造・小売・介護・士業の4業種について、時間を取られやすい作業と生成AIの使いどころを一覧表にしました。掲載しているのは、人が最終判断する前段の下ごしらえに使う例だけです。
  • 業種を問わず先に決めるのは、入力してよい情報の範囲・社外に出す前の確認者・やめる条件の3点です。
  • 業種ごとの確認先として、中小企業庁の中小企業白書、経済産業省の商業動態統計、厚生労働省の介護テクノロジーの利用促進、国税庁の電子帳簿保存法関係のページを本文からリンクしています。

「生成AIを使えるらしいが、自社の仕事のどこに当てはめればよいか分からない」という相談をよくいただきます。業種が違えば、時間を取られている作業も違います。この記事では、製造・小売・介護・士業の4業種について、よくある手作業と生成AIの使いどころを一覧表にし、業種ごとに先に確認しておきたい公的な情報源をまとめます。

最終更新日: 2026-09-11

業種別ユースケース一覧表

掲載しているのは、いずれも「人が最終判断する前段の下ごしらえ」に生成AIを使う例です。判断そのものをAIに任せる使い方は含めていません。

業種時間を取られやすい作業生成AIの使いどころ先に決めること
製造日報・作業記録の清書、図面や仕様書からの情報探し手書きメモや口述の記録を項目ごとに整理し、担当者が確認して確定する図面・仕様書を外部サービスに入力してよいか(取引先との秘密保持契約の確認)
製造見積・注文書の転記受け取った文面から品名・数量・納期を抽出して一覧化し、原本と突き合わせる転記後の確認を誰が行うか
小売商品説明文・POPの作成仕様や産地などの事実を渡して下書きを作り、担当者が表現と事実を確認する景品表示法の観点で断定表現を使わない社内基準
小売問い合わせ・口コミへの返信返信の下書きを作り、送信前に担当者が内容を確認する個人情報をそのまま入力しない運用
介護記録の下書き、申し送りの要約音声や短いメモから記録の下書きを作り、職員が事実を確認して確定する利用者の氏名・状態を外部サービスへ入力しない範囲の線引き
介護シフト調整の連絡文、家族向けの案内文条件を渡して案内文の下書きを作る公開前の確認者と、個人が特定される情報の除去
士業資料の整理、問い合わせの一次分類受け取った書類の項目を整理し、不足資料を一覧にする顧客の資料を外部サービスに入力してよいかの判断基準
士業説明資料・案内文の作成制度の説明資料の骨子を作り、担当者が条文・通達に当たって確認する出力をそのまま送らない(必ず一次資料で裏取り)

製造業

現場のメモが紙のままだと、清書する人の時間がまとまって消えます。まずは「記録を整理する」用途だけに絞ると、失敗しても影響が小さい範囲で試せます。図面や仕様書は取引先の資産であることが多いため、外部サービスへの入力可否を先に確認してください。

業種全体の状況を確認したい場合は、中小企業庁の中小企業白書が一次情報の入口になります。

小売業

商品説明文や返信文は、事実そのものより「言い回しを整える時間」がかかります。仕様・産地・価格といった事実は自社で用意し、文章の形を整える部分だけを任せるのが安全です。効能や優位性の断定は、根拠がなければ書かないという社内基準を先に決めておきます。

販売動向の統計は経済産業省の商業動態統計で公開されています。

介護

記録と申し送りは毎日発生するため、少し短縮できるだけでも効きます。ただし利用者の氏名・状態は機微な情報です。入力してよい範囲を文書で決めてから始めてください。

介護分野のテクノロジー活用については、厚生労働省の介護テクノロジーの利用促進のページに、国の施策と関連資料がまとまっています。

士業

士業では、出力をそのまま顧客へ渡さないことが前提になります。制度の説明資料は骨子づくりまでを任せ、条文・通達・様式は必ず一次資料で確認します。書類の保存方法についても、電子で受け取ったものの扱いは法令の要件があります。

電子データの保存要件は、国税庁の電子帳簿保存法関係のページで公開されています。

業種を問わず先に決める3つ

  1. 入力してよい情報の範囲: 顧客の個人情報、取引先から預かった資料、未公開の数値を具体名で列挙して禁止します。
  2. 確認する人: 社外に出る文書は、担当者が事実を確認し、責任者が承認する流れを決めます。
  3. やめる条件: 期待した効果が出なかったときに、いつ・誰が中止を判断するかを先に決めます。

この3点は、総務省が公開しているAI事業者ガイドラインの別添チェックリストの項目立てに沿って社内文書へ落とすと、後から説明しやすくなります。生成AIサービスへの情報入力については、個人情報保護委員会の生成AIサービスの利用に関する注意喚起等についてもあわせてご確認ください。

参考にした公的な情報源

あわせて読みたい

本記事は一般的な業務例の整理であり、個別の法令適用や導入効果を保証するものではありません。実際の運用にあたっては、業種ごとの規制や契約条件をご確認ください。

よくある質問

どの業種から生成AIを試すべきですか。

業種で決めるより、社内で件数が多く、失敗しても取り返しがつく作業から試すほうが進みます。本文の一覧表では、記録の整理や下書き作成のように、担当者が最終確認する前段の作業を挙げています。まず対象業務を1つに絞り、期間と中止条件を決めてから始めてください。

顧客の情報を生成AIに入力してもよいですか。

社内で入力してよい情報の範囲を文書で決めてから判断してください。個人情報保護委員会は「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について」を公開しています。取引先から預かった図面・書類は秘密保持契約の対象になっている場合があるため、契約条件の確認も必要です。

一覧表の使いどころは、そのまま自社に当てはめてよいですか。

一般的な業務例として整理したものなので、自社の業務手順に合わせて読み替えてください。同じ業種でも、扱う情報の機微さや取引先との契約条件によって、できること・できないことが変わります。効果を保証するものではありません。


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