「AIの社内ルールを作りたいが、何を書けばよいか分からない」という相談が増えています。ゼロから文章を書く前に、決めるべき項目を先に並べたほうが早く進みます。この記事では、社内ガイドラインに入れる項目を一覧にし、各項目で何を決めるのかと、公的機関が公開している参照先を整理します。
最終更新日: 2026-09-10
社内ルールに入れる項目一覧
| 項目 | 決めること | 書き方の例 |
|---|---|---|
| 目的と適用範囲 | 誰の、どの業務に適用するか | 「本ルールは全従業員および業務委託先に適用する」 |
| 使ってよいサービス | 会社が認めたサービスの一覧と、追加の申請先 | 「利用可能なサービスは別表のとおり。追加は情報システム担当へ申請」 |
| 入力してはいけない情報 | 禁止する情報を具体名で列挙 | 「顧客の個人情報、契約書、未公開の財務数値は入力しない」 |
| 出力の確認 | 社外に出す前に誰が確認するか | 「社外文書は担当者が事実確認し、責任者が承認する」 |
| 著作権・第三者の権利 | 他者の著作物や実在人物の扱い | 「第三者の著作物をそのまま出力させる指示はしない」 |
| AI利用の明示 | 成果物にAI利用を書くかどうか | 「対外公開物にAIを使った場合は、必要に応じて明記する」 |
| ログと記録 | 使った指示文と結果を残すか | 「業務利用の指示文と出力は共有フォルダに保存する」 |
| 相談・報告の窓口 | 迷ったとき、問題が起きたときの連絡先 | 「判断に迷う場合は必ず事前に窓口へ相談する」 |
| 違反時の扱い | ルールに反した場合の対応 | 「就業規則に基づき対応する」 |
| 見直しの頻度 | いつ更新するか、誰が更新するか | 「半期に1回、情報システム担当が見直す」 |
10項目すべてを一度に完成させる必要はありません。最初は「使ってよいサービス」「入力してはいけない情報」「相談窓口」の3つだけでも、現場の判断は大きく楽になります。
公的機関の参照先
- 総務省「AI事業者ガイドライン」掲載ページ: 本編・別添のほか、別添7としてチェックリストとワークシートが公開されています。掲載ページによると最新は第1.2版(令和8年3月31日公表)で、あわせて「AI事業者ガイドライン活用の手引き(案)」(令和8年3月31日公表)と「AI事業者ガイドライン チャットボット」(令和8年3月26日公表)も公開されています。自社ルールの項目立てを、この別添の構成に合わせておくと後から説明しやすくなります。
- 個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について」(令和5年6月2日): 生成AIサービスの利用に関する注意喚起が別添1として、OpenAIに対する注意喚起の概要が別添2として公開されています。「入力してはいけない情報」の項目を書くときの根拠になります。
- IPA「情報セキュリティ10大脅威」: 組織向けの脅威が順位付きで整理されています。ルールの前提となるリスクの説明に使えます。
作ったあとに必ず決めること
- 周知の方法: 文書を置いただけでは読まれません。対象業務の担当者に、口頭で1回説明する場を作ります。
- 質問を歓迎する姿勢: 禁止事項だけを並べると、隠れて使われて把握できなくなります。相談したほうが早い、という運用にします。
- 見直しの日付: サービスの仕様も公的なガイドラインも更新されます。次に見直す日を文書内に書いておきます。
ルールを決めたあと、実際の導入でつまずきやすい点は中小企業の生成AI導入 失敗事例と対策チェックリスト 2026にまとめています。導入そのものの進め方は中小企業のAI導入 はじめの一歩、問い合わせ対応から始める場合は中小企業 チャットボット導入の進め方と失敗しない要点もあわせてご覧ください。
なお、本記事は一般的な項目の整理であり、個別の契約・法令適用についての助言ではありません。実際の運用にあたっては、必要に応じて自社の顧問弁護士等にご確認ください。
よくある質問
AIの社内ルールは、何から書き始めればよいですか。
全項目を一度に完成させる必要はありません。まず「使ってよいサービス」「入力してはいけない情報」「相談窓口」の3つを決めてください。この3つがあるだけで、現場が判断に迷う場面の大半は解消します。残りの項目は運用しながら足していけます。
参考にできる公的な資料はありますか。
総務省の「AI事業者ガイドライン」掲載ページに、本編・別添に加えて別添7としてチェックリストとワークシートが公開されています(掲載ページによると最新は第1.2版・令和8年3月31日公表)。個人情報の入力については、個人情報保護委員会が令和5年6月2日に公表した「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について」も確認してください。
ルールを作れば、それで運用できますか。
文書を置くだけでは読まれません。対象業務の担当者に口頭で1回説明する場を作り、質問を歓迎する姿勢を示してください。禁止事項だけを並べると、把握できないところで使われる状態になりがちです。あわせて、次に見直す時期を文書内に書いておきます。