「表示は増えているのにクリックが伸びない」を数字で分解する
SEO改善で最初に迷うのは、どのページから手をつけるかです。感覚で優先順位を決めると工数がかかる割に成果が読めません。弊社では18サイト分のSearch Consoleデータをまとめて取得し、Claude Codeのサブエージェントに分担させてCTR(クリック率)改善と「射程内クエリ」(あと一歩で上位に届くクエリ)を分析するパイプラインを組んでいます。この記事では、その実務手順を紹介します。
最終更新日: 2026-09-02
手順1: 全クエリ×全ページを一括取得する
Search Console UIの画面確認だけでは、サイトが増えるほど見落としが増えます。まず、直近28日分と直前28日分(前期比較用)の「クエリ×ページ」の組み合わせを、クリック数・表示回数・掲載順位つきでサイトごとにJSONへ書き出します。1サイトあたり数千行になることも珍しくないため、この時点でExcelやスプレッドシートでの目視確認は現実的ではなくなります。
手順2: サイトごとに集計ファイルを作る
生データから、優先度判断に使う集計を機械的に作ります。
- opportunity(機会)集計: 表示回数が多いのにクリックが少ない(CTRが低い)ページを抽出。タイトル・ディスクリプションの改善余地が大きい候補
- compact集計: サイト全体の傾向を俯瞰できる圧縮版。個別ページの深掘り前に、どのサイト・どのページ群に手をつけるべきかを判断する材料にする
この段階まではスクリプトによる機械的な処理で、人間やAIの判断は介在させません。判断の材料を揃えることに専念します。
手順3: レーン(担当領域)ごとにサブエージェントへ分担させる
集計ができたら、サイト・ドメイン単位で「レーン」を切り、それぞれを独立したサブエージェントに割り当てます。1つのエージェントに全サイトを任せず分担させる理由は次の2点です。
- 作業の衝突を避ける: 同じリポジトリの同じファイルを複数のエージェントが同時に編集すると、片方の変更が失われる事故が起きます。担当ディレクトリ・担当サイトを明確に分けることで、この種の事故を構造的に防ぎます
- 検証まで1レーンで完結させる: 「編集して終わり」ではなく、編集→ローカル検証→本番デプロイ→ライブ環境へのcurlでの実測確認→変更差分の実測確認、までを1つのレーンの責任範囲にします。人間が後追いで確認する前提にすると、確認が漏れます
手順4: 「捏造しない」ための実測ゲート
この種の一括処理でもっとも壊れやすいのが、AIが数字や事実を作文してしまうリスクです。パイプラインには次のゲートを明示的に置いています。
- 掲載順位・クリック数・評点などの数値は、実データ(GSCの取得結果、外部APIの実測値)にあるものだけを使う。取得できなかった数値は「取得できなかった」と明記し、推測値で埋めない
- ページ本文の改善(タイトル・見出し・FAQ追加)を行った後は、変更を本番へデプロイしたうえでライブURLに対して実際にリクエストを送り、変更内容が確かに反映されているかを確認する。ローカルの編集が完了した時点では「完了」と扱わない
- 法的なレビューが必要な原稿(相談系サービスなど)は、原稿のハッシュ値を承認台帳と突き合わせ、レビュー対象外の変更(構造化データの追加など)と、レビューが必要な変更(主張内容の変更)を機械的に区別する
実際に出てくる打ち手の例
この手順で分析すると、典型的には次のような打ち手に分かれます。
- 表示は多いがクリックが0付近のページ: タイトル・ディスクリプションが実際の検索クエリの語順・語彙とずれているケース。上位クエリの表現に合わせて書き換える
- 掲載順位が4〜20位のクエリ: ページ内に該当クエリへ明示的に答える見出しが無いことが多い。見出し(h2/h3)を追加して対応させる
- 関連ページ同士が孤立しているクラスタ: 同じテーマの記事・アプリページ同士に内部リンクが無いケース。テーマ単位で相互リンクを追加し、クロール・回遊経路を作る
まとめ
- 複数サイトのSEO改善は、感覚での優先順位付けではなく、全クエリ×全ページの実データ集計から始める
- サブエージェントへの分担は、作業速度よりも「衝突を避ける」「検証まで1レーンで閉じる」ことを主目的に設計する
- AIによる一括処理でもっとも警戒すべきは数字や事実の捏造。実測ゲートを手順として明示的に組み込む
Burning Tribeでは、こうしたデータドリブンなSEO改善の実装支援を行っています。自社サイトの改善優先順位を客観的に把握したい方は、無料相談をご利用ください。
よくある質問
Search Console以外のデータも使いますか?
サイトによってはAhrefsなど外部の被リンク・順位計測データもあわせて使いますが、この記事で紹介した優先順位付けの根幹はSearch Consoleの実測データです。
AIに任せると数字を捏造しませんか?
そのリスクを踏まえ、実データにない数値は使わない・変更後は必ずライブ環境で実測確認する、という手順をパイプラインの必須ゲートとして組み込んでいます。詳しくは本文の「手順4」をご覧ください。
他にAIを使った運用の自動化事例はありますか?
弊社では18サイトのドメインレーティングを毎日監視する仕組みや、Claude Codeの並列セッションを可視化するダッシュボードも紹介しています。あわせてご参照ください。