かなり強いタイトルです。
最終更新日: 2026-09-02
しかし、これは「広告運用ができないエンジニアは解雇される」という話ではありません。
正確に言えば、顧客が誰で、何に困っていて、どの数字を動かすためにシステムを作るのかを理解せず、渡された仕様をコードに変えるだけのエンジニアは、仕事の単価も裁量も失いやすくなるという話です。
会社が欲しいのは、コードそのものではありません。
売上を増やしたい。
問い合わせを増やしたい。
作業時間を減らしたい。
ミスや事故を減らしたい。
顧客に継続して使ってもらいたい。
コードは、これらを実現するための手段です。
AIによって実装速度が上がるほど、「何を作るか」「誰のために作るか」「作った後にどう届けるか」を考えられる人の価値が高くなります。
AIが奪うのは、エンジニアという職業ではない
「AIによってエンジニアの仕事がなくなる」と一括りにするのは正確ではありません。
米国労働統計局の2024年から2034年までの予測では、コードの作成・修正・テストを中心とする「コンピュータープログラマー」は6%減少するとされています。一方、ユーザーのニーズを分析し、ソフトウェア全体を設計する「ソフトウェア開発者」は16%増加する予測です。
米国の統計であり、そのまま日本の雇用予測になるわけではありません。ただし、コードを書く役割と、顧客ニーズを理解してプロダクトを設計する役割の価値が分かれ始めていることは読み取れます。([[Bureau of Labor Statistics](https://www.bls.gov/ooh/computer-and-information-technology/computer-programmers.htm)][2])
Anthropicの利用データでも、生成AIの利用はソフトウェア開発や技術文書の作成に集中しています。特に、UIコンポーネントやWeb・モバイルアプリの開発は、AIが利用される主要な領域です。同社は、単純なアプリやユーザーインターフェースの制作を中心とする仕事ほど、早い段階で影響を受ける可能性があると分析しています。([[Anthropic](https://www.anthropic.com/news/the-anthropic-economic-index)][3])
つまり、AIが最初に安くするのは「エンジニア」ではなく、指示されたものを実装するだけの作業です。
マーケティングとは、広告やSNSのことではない
エンジニアに必要なマーケティングは、広告管理画面を操作することでも、毎日SNSを投稿することでもありません。
マーケティングとは、次の問いに答えることです。
- 誰が顧客なのか
- その人は何に困っているのか
- 現在はどのような方法で解決しているのか
- なぜ自社のサービスを選ぶのか
- どこでサービスを知るのか
- どの数字が動けば成功なのか
この問いに答えられるエンジニアは、仕様書が完成する前から仕事ができます。
「この機能は本当に必要ですか」
「利用者が途中で離脱している原因は、機能不足ではなく入力項目の多さではありませんか」
「開発に3か月かける前に、LPと簡単な試作品で需要を確認しませんか」
「利用率ではなく、初回利用から7日後の継続率を見るべきではありませんか」
このような会話ができる人は、単なる実装担当ではありません。事業を前に進めるプロダクト人材です。
危ないエンジニアに共通する5つの特徴
1.仕様書を疑わない
仕様書に書かれている機能を、正確に実装することだけを考えます。
しかし、その仕様が顧客の課題を解決するとは限りません。現場の思いつき、競合サービスの模倣、社内政治によって追加された機能もあります。
「なぜ作るのか」を確認しないエンジニアは、不要なものを高品質に作ってしまいます。
2.技術選定が目的になっている
新しいフレームワーク、高性能な構成、美しいアーキテクチャには価値があります。
ただし、顧客が10人しかいないサービスに、100万人を想定した構成が必要とは限りません。
技術的に正しいことと、事業として正しいことは別です。
優れたエンジニアは、性能、開発期間、運用コスト、将来の拡張性を比較し、現在の事業段階に合う選択をします。
3.公開した時点で仕事が終わる
サービスは公開しただけでは使われません。
検索で見つけてもらう。
広告やSNSから訪問してもらう。
営業担当が説明しやすい資料を用意する。
登録後に最初の価値を体験してもらう。
継続利用につなげる。
開発後の導線を考えないと、優れた機能でも誰にも使われないまま終わります。
4.数字を見ない
「リリースできた」「障害がなかった」だけでは、事業への貢献は判断できません。
訪問者の何%が登録したのか。
登録者の何%が主要機能を使ったのか。
翌週も利用している人は何%か。
問い合わせや売上につながったのか。
数字を確認しないエンジニアは、機能を作ることはできても、改善することができません。
5.技術用語でしか説明できない
経営者や顧客が知りたいのは、使用したライブラリやデータベースの種類ではありません。
「何が改善されるのか」
「いくら削減できるのか」
「どのリスクを減らせるのか」
「いつから効果が出るのか」
技術を事業の言葉に翻訳できないと、重要な意思決定に参加できません。
AI時代のエンジニアに必要な5つのマーケティング能力
1.顧客の課題を言語化する力
まず必要なのは、顧客を観察する力です。
ユーザーインタビュー、営業担当へのヒアリング、問い合わせ履歴、解約理由、検索キーワードなどから、顧客が実際に困っていることを探します。
「便利なサービスを作る」では不十分です。
「毎月Excelで3時間かけて集計している担当者が、確認作業を30分で終えられるようにする」
ここまで具体化できると、必要な機能と不要な機能が見えてきます。
2.価値を短く伝える力
機能を並べても、サービスの価値は伝わりません。
「AIを搭載しています」ではなく、
「過去の問い合わせから回答案を作り、一次対応の時間を減らします」
「高性能な検索機能があります」ではなく、
「必要な社内資料を数秒で見つけられます」
顧客が理解できる言葉で、導入前と導入後の違いを説明する力が必要です。
3.ファネルとKPIを理解する力
サービスは通常、次のような段階を通ります。
認知、訪問、登録、初回利用、継続、購入、紹介。
訪問者が少ないなら、SEOや広告、発信の問題かもしれません。訪問者は多いのに登録されないなら、訴求やフォームの問題です。登録されても使われないなら、初期設定や操作性に原因があります。
ボトルネックを特定できれば、作るべき機能も変わります。
すべてを開発で解決しようとしないことが重要です。
4.小さく検証する力
需要があるか分からない段階で、完成品を作る必要はありません。
最初にサービス説明ページを作る。
問い合わせボタンを置く。
試作品を数人に触ってもらう。
一部の処理を人力で代行する。
こうした方法で需要を確認してから、自動化や本開発に進みます。
開発力が高い人ほど、すぐに作り始めてしまいがちです。しかし、作らずに検証することも重要な技術です。
5.届けるところまで設計する力
良いプロダクトと、売れるプロダクトは同じではありません。
検索されるページを作る。
導入事例を公開する。
比較検討に必要な情報を用意する。
問い合わせ後の営業フローと連携する。
利用状況に応じた案内を出す。
プロダクトの外側にある導線まで設計できるエンジニアは、開発とマーケティングの分断を解消できます。
技術力が不要になるわけではない
ここまで読むと、「これからはマーケティングだけ勉強すればよい」と感じるかもしれません。
それも違います。
事業理解だけがあり、品質、セキュリティ、可用性、保守性を考えられなければ、安心して使えるサービスは作れません。
これから評価されるのは、次の掛け算です。
技術力 × 顧客理解 × 事業理解 × AI活用力
世界経済フォーラムの調査でも、AI、ビッグデータ、ネットワーク、サイバーセキュリティ、技術リテラシーなどの需要は高まると予測されています。同時に、分析力、創造性、協働といった人間側の能力も重要とされています。([[World Economic Forum](https://www.weforum.org/publications/the-future-of-jobs-report-2025/digest/)][4])
技術を捨てるのではありません。
技術を、顧客と事業の成果につなげる力を追加するのです。
30日で始める実践方法
マーケティングの本を何冊読んでも、実際の顧客や数字に触れなければ身につきません。
小さなプロダクトや、現在担当しているサービスを一つ選び、次の順番で実践します。
| 期間 | 行動 | 成果物 |
| — | ——————————— | ——————– |
| 1週目 | 利用者5人に話を聞く。難しい場合は問い合わせやレビューを30件読む | 顧客、課題、現在の代替手段をまとめた1枚 |
| 2週目 | サービスの価値を一文にし、説明ページと計測環境を用意する | LP、CTA、アクセス解析 |
| 3週目 | 課題を解決する最小限の機能だけを作る | 試作品またはMVP |
| 4週目 | 実際に利用者を集め、登録率や利用率を確認する | 数値レポートと次の改善案 |
重要なのは、最初から大きな成果を出すことではありません。
仮説を立て、届け、数字を見て、改善する。この一連の流れを自分で経験することです。
企業側もエンジニアを実装担当にしてはいけない
エンジニア本人だけの問題ではありません。
会社がエンジニアに仕様書だけを渡し、顧客との接点を持たせず、納期と工数だけで評価していれば、事業を理解できる人材は育ちません。
エンジニアにも顧客の声を共有する。
問い合わせや商談に同席してもらう。
売上、登録率、継続率などのKPIを共有する。
マーケターや営業担当と一緒に改善案を考える。
この環境を作ることで、エンジニアは「作る人」から「成果を生み出す人」に変わります。
まとめ|失業するのは、コードしか書けないからではない
エンジニアの仕事が、すべてAIに置き換わるわけではありません。
一方で、実装作業の一部が自動化され、同じものをより短時間、より少人数で作れるようになるのは避けられません。
そのとき問われるのは、コードを書く速さだけではありません。
何を作るべきか。
なぜ作るべきか。
誰に届けるのか。
どの数字を改善するのか。
作った後、どう成長させるのか。
ここまで考えられるエンジニアは、AIに仕事を奪われる側ではなく、AIを使って事業を動かす側に回れます。
マーケティングは、エンジニアにとって副業的な知識ではありません。
自分の技術を価値に変えるための、キャリアの基礎能力です。
次にコードを書く前に、まず一つだけ確認してください。
「これは、誰のどんな問題を解決し、どの数字を動かすための開発なのか」
その問いに答えられないなら、実装を始めるのはまだ早いのかもしれません。
よくある質問
エンジニアも広告運用やSNS投稿を覚える必要がありますか?
必須ではありません。まず必要なのは、顧客、課題、競合、訴求、導線、KPIを理解することです。広告やSNSは、顧客に届ける手段の一部にすぎません。
バックエンドやインフラのエンジニアにもマーケティングは必要ですか?
必要です。ただし、フロントエンドと同じ知識が必要という意味ではありません。障害による損失、処理速度、運用コスト、セキュリティリスクなど、自分の技術が事業に与える影響を説明できることが重要です。
何から勉強すればよいですか?
マーケティング用語を暗記するより、担当サービスの顧客に話を聞き、アクセス解析や利用データを見るところから始めてください。実際の顧客と数字が、最も具体的な教材になります。
本当にエンジニアの仕事はなくなりますか?
エンジニア職全体がなくなるとは考えにくい一方、反復的なコーディングや単純な実装作業は自動化が進みます。顧客ニーズの分析、設計、セキュリティ、複雑な意思決定、事業との接続を担う役割は、引き続き重要です。
AI・SEO・Web改善を事業成果につなげる
技術はあるのに問い合わせが増えない。AIツールを導入したものの、現場で使われていない。コンテンツ、SEO、Webサイト、開発施策が別々に動いている。
バーニングトライブでは、AI戦略、コンテンツ制作、SEO、ホームページ改修、業務改善、コンバージョン改善を横断し、事業目標から逆算した実装と運用を支援しています。([[株式会社バーニングトライブ – AI導入・SEO・HP改修 東京/福岡](https://burningtribe.tokyo/)][1])
まずは、現在の課題と「どの数字を動かしたいのか」をお問い合わせページからご相談ください。