消防設備士は「消防設備士」という1つの試験ではありません。甲種・乙種の区分と、第1類から第7類までの類別の組み合わせで、出題範囲も実技の形式も変わります。過去問の使い方を決めるには、まず自分が受ける区分の試験の作りを知るのが先です。この記事では、一般財団法人消防試験研究センターが公開している試験の方法・科目の記載をもとに、類別ごとの勉強の進め方とアプリで学べる範囲を整理しました。
最終更新日: 2026-09-17
甲種と乙種は「できること」が違う
消防試験研究センターの案内によると、甲種は工事整備対象設備等の工事・整備・点検ができ、乙種は整備・点検ができます。つまり両者の差は工事ができるかどうかです。この差は試験にも出ていて、甲種の科目名には「工事」が入り、乙種には入りません。同じ第4類でも、甲4は工事の知識まで、乙4は整備と点検までが範囲になります。
受験資格も違います。乙種はどなたでも受験できますが、甲種は受験資格が必要です。具体的な要件と、試験日程・受付期間は支部ごとに異なるため、消防試験研究センターの消防設備士試験ページで確認してください。この記事では日程や手数料といった変動する情報は扱いません。
類別と対象設備
類別は、扱える消防用設備等の種類を示します。同センターの案内に記載されている対象設備は次のとおりです。
| 区分 | 対象となる消防用設備等 |
|---|---|
| 特類 | 特殊消防用設備等(従来の消防用設備等に代わり、総務大臣が同等以上の性能があると認定した設備等) |
| 第1類 | 屋内消火栓設備、スプリンクラー設備、水噴霧消火設備、屋外消火栓設備ほか |
| 第2類 | 泡消火設備、パッケージ型消火設備ほか |
| 第3類 | 不活性ガス消火設備、ハロゲン化物消火設備、粉末消火設備ほか |
| 第4類 | 自動火災報知設備、ガス漏れ火災警報設備ほか |
| 第5類 | 金属製避難はしご、救助袋、緩降機 |
| 第6類 | 消火器 |
| 第7類 | 漏電火災警報器 |
この記事では、アプリと紙の分担を考えやすい甲4・乙4・乙6を例に進めます。甲4と乙4は自動火災報知設備が中心で電気の知識を使い、乙6は消火器という「手に取れる道具」が対象です。勉強の質感がまったく違うので、同じ勉強法を持ち込むとどちらかで詰まります。
試験の作りから逆算する
筆記はマーク・カードを使う四肢択一式、実技は写真・イラスト・図面等による記述式です。合格には、筆記で各科目40%以上かつ全体60%以上、さらに実技で60%以上が必要とされています(甲種特類を除く)。科目ごとに足切りがあるため、得意分野で稼いで苦手分野を捨てる戦略は通りません。
| 区分 | 筆記 | 実技 | 試験時間 |
|---|---|---|---|
| 甲種(特類以外) | 45問(消防関係法令15、基礎的知識10、構造・機能・工事・整備20) | 鑑別等5問、製図2問 | 3時間15分 |
| 乙種 | 30問(消防関係法令10、基礎的知識5、構造・機能・整備15) | 鑑別等5問 | 1時間45分 |
| 甲種特類 | 45問(工事整備対象設備等の構造・機能・工事・整備15、火災及び防火15、消防関係法令15) | なし | 2時間45分 |
出典は同センターの試験の方法と試験科目及び問題数です(2026年9月17日確認)。他資格の保有者は科目免除の対象になり試験時間が短縮されますが、甲種特類には免除制度がありません。免除を使うと母数が減って1問の重みが増すため、免除するかどうかは科目ごとの自信と合わせて決めてください。
類別ごとに過去問の使い方を変える
甲種第4類
製図が2問あるのが最大の特徴です。ここは選択肢を選ぶ練習では届きません。感知器の種類と設置場所、配線の系統を、白紙に自分で描けるところまで手を動かす必要があります。過去問に使う時間のうち、まとまった枠を製図に取っておくのがおすすめです。筆記の「構造・機能・工事・整備」で覚えた内容が、そのまま製図の材料になります。
乙種第4類
範囲は甲4と重なりますが工事が外れ、実技は鑑別等だけです。写真や図を見て機器の名称・用途・設置上の注意を答える形式なので、過去問は「見て即答できるか」で回します。参考書の図版を隠して名前を言う、という練習が効率的です。甲4を後で受けるつもりなら、乙4の段階から配線図に目を慣らしておくと移行が楽になります。
乙種第6類
対象は消火器1つに絞られます。範囲が狭いぶん、構造・部品名・薬剤の種類・点検時の着眼点といった細部まで問われます。実技は写真・イラスト・図面等による記述式なので、消火器そのものを見分ける力が問われます。可能なら職場や公共施設に置かれている実物を観察してください。図だけで覚えた知識は、角度が変わった写真で崩れます。
解く順番
類別が違っても、進め方の骨格は共通です。
- 消防関係法令の共通部分: どの類を受けても出ます。最初に固めると、以降の学習で迷子になりません。
- 類別の法令: 受験する類に固有の規定へ進みます。設備の設置基準と結びつけて覚えます。
- 基礎的知識(機械・電気): 問題数は少ないものの科目ごとの足切りがあるため、捨てられません。
- 構造・機能・整備: 実技の材料になる中心科目です。ここに最も時間を配分します。
- 実技: 鑑別等は筆記と並行して毎日少しずつ。製図は筆記が一周してから集中的に。
間違えた問題には、なぜ間違えたかを1行で書き添えてください。「用語を知らなかった」「条件を読み飛ばした」「図が読めなかった」では、次に取る手が違います。
アプリで学べる範囲と、学べない範囲
四肢択一の筆記と、名称を答える鑑別等の一部は、スマホの一問一答と相性がよい領域です。移動中に数問ずつ回すだけでも、法令と用語は積み上がります。反対に、製図のように白紙へ描き起こす課題と、実物の構造を手で確かめる作業はアプリでは代替できません。紙とアプリの分担を最初に決めておくと、直前期に慌てずに済みます。
当社の消防設備試験対策は、甲種・乙種を含む出題分野を一問一答形式で演習し、間違えた問題だけを解き直せる構成です。2026年9月14日時点では App Store・Google Play とも公開準備中で、最新の公開状況はアプリページと各ストアの表示をご確認ください。電気の基礎から固め直したい方は第二種電気工事士の勉強アプリや電験三種試験対策もあります。学習アプリの選び方そのものは資格試験アプリの選び方と無料で使える範囲と課金の目安にまとめました。公開中・準備中を含む一覧はアプリ一覧から確認できます。
制度の一次情報
消防設備士の資格制度と消防用設備等を所管するのは総務省消防庁です。関係する法令は消防庁の法令のページから辿れます。試験の実施に関する情報(試験科目、試験の方法、受験資格、日程、受験申請)は、一般財団法人消防試験研究センターが公開しています。本記事に書いた試験の構成は2026年9月17日に同センターのページで確認したものです。
免責事項
本記事は学習の進め方を整理したものです。個別の問題の正解や、法令の条文の解釈は扱っていません。試験科目・試験時間・合格基準・受験資格・日程は変更されることがあり、各実施団体の公式情報が優先されます。当社のアプリは各試験・検定の主催団体とは関係のない、非公式の学習補助アプリであり、合格や点数向上を保証するものではありません。
よくある質問
甲種第4類と乙種第4類は何が違いますか。
対象設備はどちらも自動火災報知設備やガス漏れ火災警報設備ですが、甲種は工事・整備・点検ができ、乙種は整備・点検ができます。試験では甲種の科目名に「工事」が入り、実技に製図2問が加わります。乙種の実技は鑑別等のみです。受験資格も異なり、乙種はどなたでも受験できますが、甲種は受験資格が必要です。
過去問はどの科目から解けばよいですか。
消防関係法令の共通部分から始めてください。どの類を受けても出題され、ここを固めると以降の学習で迷いにくくなります。次に類別の法令、基礎的知識、構造・機能・整備と進み、実技は鑑別等を筆記と並行して毎日少しずつ、製図は筆記が一周してから集中的に取り組む配分が現実的です。
アプリだけで消防設備士の試験対策はできますか。
四肢択一の筆記と、名称を答える鑑別等の一部は一問一答のアプリと相性がよい領域です。一方、製図のように白紙へ描き起こす課題と、消火器のように実物の構造を手で確かめる作業はアプリでは代替できません。紙とアプリの分担を最初に決めてから学習計画を立ててください。