「原価率が高い気がする」と感じても、どの原価を、どの期間で計算するかが決まっていないと、数字を比べられません。この記事では、飲食店で使う原価計算を2種類に分けて、計算式と計算例を並べました。後半では、手計算やスプレッドシートから原価計算アプリに移すときに見るポイントをまとめています。
最終更新日: 2026-10-22
飲食店の原価計算は2種類ある
| 種類 | 何を出すか | 主な使いみち |
|---|---|---|
| メニュー1品の原価(レシピ原価) | 1皿に使う食材の金額の合計と、販売価格に対する割合 | 値付け、メニューの入れ替え、ポーションの見直し |
| 月の売上原価 | その月の売上を作るために使った食材の金額 | 月の原価率・FL比率の確認、前月や目標との比較 |
メニュー表の原価率がすべて30%でも、廃棄やまかない、仕込みのロスがあれば、月の原価率はそれより高くなります。2つは別の数字として管理し、差が大きくなったらロスの原因を探す、という使い分けが基本です。
計算式と計算例
メニュー1品の原価と原価率
1品の原価は、使う食材ごとに「仕入単価÷仕入量×使用量」を出して足し合わせます。原価率は「1品の原価÷販売価格×100」です。
例:仕入単価1,000円で1kgの豚肉を150g、200円で1kgの玉ねぎを100g、調味料などを30円分使う定食なら、原価は150円+20円+30円=200円。販売価格が800円なら原価率は25%です(税抜で揃えて計算します)。
月の売上原価と原価率
月の売上原価は「月初の在庫金額+当月の仕入金額−月末の在庫金額」で出します。原価率は「売上原価÷売上×100」です。
例:月初の在庫20万円、当月の仕入100万円、月末の在庫25万円なら、売上原価は95万円。売上が300万円なら原価率は約31.7%です。在庫を数えずに仕入合計の100万円で割ると約33.3%になり、在庫が増えた月ほど原価率を高く見積もることになります。
FL比率
FL比率は、食材原価(Food)と人件費(Labor)の合計を売上で割った比率で、飲食店の経営指標としてよく使われます。「(食材原価+人件費)÷売上×100」で出します。上の例で人件費が90万円なら、(95万円+90万円)÷300万円で約61.7%です。人件費にアルバイト代だけを入れるのか、社員給与や自分の給与まで含めるのかで値が大きく変わるため、定義を決めてから毎月同じ定義で測ってください。公的統計から見た目安の読み方はFLコストは月末に見ても遅い|飲食店の日報をスマホに移しAIが来月の一手を出すで解説しています。
仕入合計で代用するときの注意
毎月の棚卸しが難しい店では、仕入合計を売上で割った数字を日々の目安に使うことがあります。この方法は手軽ですが、まとめ買いをした月や、月末に在庫を多く持った月は原価率が高く出て、在庫を使い切った月は低く出ます。日々は仕入合計で傾向を見て、月に一度は在庫を数えて売上原価を出す、と分けておくと判断を誤りにくくなります。
原価計算アプリを選ぶときに見る5点
- 毎日入力できるか:閉店作業のあとにスマホで数十秒で入れられる作りかどうか。月末にまとめて入力すると、数字が分かった時点でその月が終わっています。
- 人件費も一緒に見られるか:原価だけでなく、アルバイト代などの人件費を入れてFL比率まで出せるか。
- 仕入先別に集計できるか:どの仕入先の金額が増えたのかが分かると、値上げや発注量の見直しに使えます。
- データを書き出せるか:CSV などで書き出せれば、税理士への共有や会計ソフトへの転記に使えます。
- 料金と始め方:無料で使える範囲、有料の機能、解約の条件、クレジットカード登録の要否を最初に確認します。
メニュー1品の原価(レシピ原価)を細かく管理したい場合は、食材マスタと使用量を登録できるかも確認してください。日々の原価率とFL比率を見る道具と、レシピ原価を作る道具は、別のものになることがあります。
当社の「帳場」でできること
当社は飲食店向けのFLコスト管理Webアプリ「帳場(ちょうば)」を提供しています。リリース時点の機能と料金は次のとおりです。
- スマホの日報を保存すると、その日のF率・L率・FL率を表示
- 売上目標の達成率と、残り営業日からの必要日販を自動計算
- 仕入先別の総原価マトリクスと、週次のF予算差異
- 給料管理、CSVエクスポート
- 日報と売上ダッシュボードは無料。FL分析・総原価・給料管理まで使う場合は Pro(月980円・いつでも解約可)。Googleアカウントで始められ、クレジットカード登録は不要
帳場は月の売上原価とFL比率を日々追う道具で、メニュー1品ごとのレシピ原価の計算機能は備えていません。詳しくは飲食店のFL比率を自動計算するアプリ「帳場」のリリースのお知らせをご覧ください。
よくある質問
飲食店の原価率はどう計算しますか。
月の原価率は「売上原価÷売上×100」で、売上原価は「月初の在庫+当月の仕入−月末の在庫」で出します。メニュー1品の原価率は「1品に使う食材の金額÷販売価格×100」です。
仕入合計を売上で割るだけではだめですか。
日々の傾向を見る目安には使えますが、在庫の増減の分だけ数字が振れます。月に一度は在庫を数えて売上原価を出し、仕入合計で割った数字とずれていないか確かめてください。
FL比率には何を入れればよいですか。
食材原価と人件費を入れます。人件費にアルバイト代だけを入れるか、社員給与や役員報酬まで含めるかで値が変わるため、店で定義を決め、毎月同じ定義で比べることが大切です。